皆様、靴はどのくらい履きますか?
お仕事で毎日履く靴、大事な時にだけ履く特別な靴、たくさん歩く靴、歩かない靴、それぞれの用途によって様々と思いますが、大事な靴、お気に入りの靴ほど綺麗に長く履きたいものですよね。
そのためには日々のお手入れが必須です。
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また、靴の素材やデザインなどによっても寿命は大きく変わってきます。
どんな素材が使われているのか?その素材にあったお手入れは?デザインによってどのような点に気をつけてケアをすれば良いのか?
適切なお手入れをしていれば、靴の寿命はぐんと伸びます。
素材やデザイン、用途によるそれぞれのケア方法をまとめました。
目次
靴のお手入れはどのくらい重要?
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靴のお手入れをしているかしていないかで何が変わってくるのか。
冒頭でもお話ししたとおり靴の寿命が変わることが大きいですが、それ以外にも気にしなければならない問題が…
①見た目の問題
お手入れされている靴と、されていない靴は他人から見れば案外はっきり違いがわかります。
本人は気にしていなくても、どうしても靴の状態からその人の人間性まで滲み出ているのです。
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ビジネスマンは特に靴を見られる機会が多く、とても綺麗に手入れしている人が多くいます。
汚い靴を履いていると色々想像されてしまうのです…例えば…
ソールの一部分だけがひどくすり減っている
↓
だらしない歩き方をしていそう
↓
私生活もだらしなさそう
靴のフォルムがかなり歪んでいる
↓
歩き方が悪そう=骨格自体が歪んでいそう
↓
不健康、生活習慣がちゃんとしていなさそう
靴が汚い
↓
部屋も汚そう
↓
ズボラ、仕事もできなさそう
汚い靴を履いているビジネスマンはまずいい印象を持たれません。
男性も女性も理屈は同じです。初対面で靴から受ける印象というものはとても大きい割合なのです。
婚活の際に綺は麗な靴を履きなさい、と言われることもあるそう。
一部では「靴の汚い女は軽い」「汚い靴を履いている女ほどナンパが成功しやすい」なんて言われていたり…
もちろんなんの根拠もない話ですが、そう思われるのも心外でしかありません。
人に見られる場面では靴を綺麗にしておくに越したことはないということです。
②健康上の問題
こちらはこまめに靴のお手入れをしていれば簡単に気づくことができるのですが、お手入れをしていないと気づくことができないので間接的に影響される問題です。
見た目の問題としても触れましたが、例えばソールやヒールの減り方で自分の歩き方の癖に気づくことができます。
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靴の外側ばかりすり減っている→外側に身体の重心が偏っている
かかと側のソールが大きくすり減っている→かかとを擦って歩いている
靴の内側ばかり汚れる→内股
こんな具合です。
身体の重心や歩き方が正しければ靴底が均等に減っていきますし、足先がまっすぐであれば内側ばかりこすったような汚れや傷がつくこともありません。
重心も歩き方も内股も、骨格が歪んでしまっていることが原因のほとんど。
骨格が歪んでいるのはやはり健康上よくないですし、見た目も良くないです。
さらに歩き方の癖によって歪んだりすり減った靴を履き続けることでさらに歪みが助長される懸念も。
靴はこまめにお手入れして自分の歩き方をきちんと知りましょう。
基本的な靴のお手入れ
それでは靴の種類ごとにお手入れ方法をまとめました。
素材やデザインによって適切なお手入れ方法が異なるので、それぞれに合った方法を選びましょう。
まずは基本のお手入れから!
①まずは防水をしておこう!
これは靴の種類に関係なく必ずやっておいた方がいい一手間。
防水スプレーです。
防水スプレーはシューズだけではなくバッグや小物にも使えるのでひとつ持っておくとかなり便利。
シューズを買ったら履く前に全体にスプレーしておくと汚れの防止になります。
防水・撥油・防汚の効果を与え、靴を保護する防水スプレー。
汚れても簡単に取れやすくなるので、特に汚れが目立ちやすい上、洗っても完全に綺麗になりにくい布地やキャンパス時のシューズにはこの一手間がかなり効果的です。
買った時だけではなく、お手入れの最後や雨の日に履く前などにこまめにスプレーしておくことでもっと効果が期待できます。
また、中敷にもスプレーしておくと汗染みや匂いがつくのを抑えてくれたりもします。
本革や特殊素材の中にはスプレーに向いていないものもあるので、まずは目立たないところに軽くスプレーしてみて、シミになったりしないか確認してから使用しましょう。
②保管するときはシューキーパーを!
靴は履いていると必ず型崩れを起こします。
履き口が広がったり、甲などの伸縮する部分はシワが寄り、見た目の悪さだけではなく雨水が染み出てきてしまう原因にも。
そこで、型崩れを防ぐために必ずやることが2つ。
・2日続けて履かない
・保管する際にはシューキーパーを使う
靴を履いて歩くことは靴にとっても負担。
1日履いたら次の日は休ませてあげることで中の湿気も抜け、必要以上に靴に負担をかけずに済みます。
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そして、休ませるときには必ずシューキーパーを使用しましょう。
シワになった部分を伸ばしてくれるだけではなく、単純に重力で潰れたり、他の靴に圧迫されて起きる型崩れも防いでくれます。
シューキーパーは断然木製のものがおすすめ。
プラスチックや他の素材と比べて湿気の吸収力が段違いです。
さらに天然木のシューキーパーなら気になる匂いも一緒に吸収してくれるので嬉しいばかりです。
ただし注意したいのは「ニス仕上げ」になっているものが多いこと。
見た目はツヤが出て確かに美しいのですが、吸湿・消臭効果が台無しなのです…
一足一足、特別なお手入れ
続いて素材別のお手入れ方法をご紹介。
正しいお手入れをしていれば靴を長く美しく保つ事ができます。
①天然皮革、本革のお手入れ
靴の素材は大きく分けて天然皮革と合成皮革に分けられます。
天然皮革は牛や馬・羊・豚などの動物の皮から作られた素材で、樹脂や薬品を用いて”なめし”と言われる腐敗防止効果をもたせたものです。
対して合成皮革はポリウレタンや塩化ビニルを原料に人工的に皮に似せて作られた素材。布地に合成樹脂を塗って質感をもたせたものです。
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天然皮革と合成皮革では天然皮革の方が高級品として扱われます。
天然皮革は経年劣化が少なく、使い続けることで風合いがが変化したり、持ち主に馴染むなど合成皮革にはない魅力がたくさんあります。
しかし、やはり天然物なので手入れが必要。
手入れをサボっていると通常10年、20年もつとも言われる天然皮革のシューズが台無しになってしまいます。
毎日コツコツお手入れをして、良いものを長く楽しみましょう。
[スムース、エナメルなど]
天然皮革の中でもスムース、エナメルなどの表面に起毛のない素材のお手入れです。
1、レザー用クリーナーと柔らかい布で靴全体の汚れを拭き取ります。
クリーナーは大量に使わなくても少量で十分汚れを落とす効果があります。
あまりたくさんつけすぎるとシミの原因になってしまうので要注意です。
汚れを落としながら皮革にツヤを与えて、クリームのノリをよくさせるための下地を作るローション。
2、靴のカラーに合ったシュームリームを塗ります。
こちらも薄く伸ばしながら塗ります。
革に潤いを与えて光沢を出すだけではなく、ひび割れを防いだり傷の保護、革の栄養補給にも効果があります。
▽ブートブラックシルバーライン ビン入りクリーム(ニュートラル)▽
さらっとした仕上がり感が得られるライト感覚なツヤ革靴専用乳化性靴クリームです。
3、全体を磨く
乾いた布で全体を軽く磨きます。
余分なクリームをオフして、さらに光沢を与えます。
使い古したストッキングで磨くと一層効果的です。
4、防水スプレーをかける
最後に防水スプレーをかけて完了。
保管するときはシューキーパーも忘れずに。
[スエード、ヌバックなど]
次は表面に起毛のある素材。
毛がある分汚れが溜まりやすいので念入りにお手入れする必要があります。
1、まずはブラッシングで汚れを落とします。
靴用のブラシを使用します。
まずは毛流れに逆らって毛を逆立てるように、次に毛並みに沿って毛を寝かせるようにブラッシングして整えます。
これは簡単に汚れを落とすことができるので毎日のお手入れでも是非取り入れてください。
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2、表面の汚れには消しゴムタイプのクリーナー
スエードは毛があるので液体タイプのクリーナーはシミになってしまう可能性があります。
そこで消しゴムタイプのクリーナーで表面をこするようにして汚れを落とします。
あまり強くこすりすぎると毛が抜けてしまうので要注意です。
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3、シミになってしまった汚れにはスプレータイプのクリーナー
スエードの中までしみ込んでしまった汚れは消しゴムではなかなか落とせないので、スプレータイプのクリーナーを使用することでシミを薄くすることが可能です。
4、ミスト、スプレーで栄養を与えます。
起毛革素材の栄養補給にはミストやスプレータイプを使用します。
栄養を与えるだけではなく、色調を鮮やかに保つ効果もあります。
ミスト、スプレー後は乾燥させて、ブラシで毛並みを整えます。
5、防水スプレーをかける
最後に防水スプレーをかけて完了。
保管するときはシューキーパーも忘れずに。
②ヒールのお手入れ
女性用のパンプスで必須なのがヒールのお手入れ。
ヒールは接地する面積が狭い分、摩耗も早く、またお手入れを怠ると修理すらできない状態になってしまうこともあるのでこまめにケアする必要があります。
[トップリフト]
ヒールは大きく分けて「ヒールブロック(ヒール本体)」と「トップリフト(先端のゴムのような部分)」に分けられます。
ヒールの先端、地面に接する部分は歩行によってすり減っていきますが、ヒール本体がすり減らなければトップリフトを交換して長く履いていただけます。
逆に言うと、トップリフトがすり減ってもそのまま歩行を続けているとヒール本体まですり減っていき、トップリフトの交換だけでは済まなくなってしまうので注意が必要です。
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トップリフトの固定には釘のような金属が使われていますが、これがむき出しになった状態で歩行を続けると金属が抜けなくなったり、地面に直接ヒールが触れることによりヒールに歪みが生じ、トップリフトの交換ができなくなってしまいます。
トップリフトの交換ができないとヒールごと交換するほかありません。
こちらは後述しますがリスクを伴うのとそもそもヒール交換できないものもあるのでできるだけ避けたい修理です。
交換するタイミングはトップリフトがすり減って中の金属が見えてしまう前が良いですが、なかなか気づきにくいもの。
私は歩行中に一度でも「カチッ」という金属音が聞こえたらその足で修理に向かうようにしています。
お値段はトップリフトのサイズや種類にもよりますが、レディースシューズなら大体1,000円前後からやってくれるところが多いです。
時間も空いていれば5分程度でやってくれるところもあるので気軽に行けますよね。
また、MAMIANではトップリフト単体での販売も行っています。(MAMIAN純正品のみ)
多少力がいりますがペンチひとつで交換できてしまって修理店に行くよりお安く仕上がります。
[ヒール交換]
トップリフトのみではなくヒールごと交換してしまう修理。
トップリフトの交換ができなくなってしまった靴や、溝にはまってヒールが破けてしまった靴など、ヒールを一度本体から取り外して新しいものを取り付けます。
新しいヒールになるなら多少お金がかかってもこっちのほうが良いのでは、と思われる方もいるかもしれませんが、ヒール交換にはリスクも伴います。
ヒールは本来、本体に釘で固定されています。
MAMIANでも安全なハイヒールのために、その道40年以上の職人がひとつひとつ丁寧に釘を打っているのですが、ヒールを一度取り外すとなると釘を抜かなければならなくなります。
一度抜いた釘穴はどんなに頑張っても広がってしまうので、再びヒールをつけても強度が下がってしまうのです。
そのため、ヒール交換は一足につき一回まで、どれだけ状態が良くても二回までが限界です。
できればヒール交換をする前にこまめなリフト交換で長持ちさせたいところですね。
③スニーカーのお手入れ
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キャンバス地や布地のスニーカーは靴全体を洗ってOK。
特に汚れのつきやすい、目立ちやすい素材ですし、しっかり洗って長持ちさせましょう。
スエードやレザータイプのスニーカーは、本革のお手入れの章で紹介したようにお手入れします。
1、靴紐、インソールを外す
外せるものは全て外しましょう。洗い残しの原因にもなるので、別々に洗います。
2、底のの泥や砂は先に流水で流す
汚れの多い時は先に流水で落とせる部分だけでも流しておきます。
3、洗剤を溶かしたぬるま湯でもみ洗いをする
汚れが落ちにくい場合はブラッシングをしてしっかりこすり洗いをします。
4、流水ですすぎ、陰干し
直射日光の当たらない風通しの良い場所で陰干しします。
この時型崩れしないようにシューツリーなどを使用しましょう。
5、防水スプレーをかける
乾いたら最後に防水スプレーをかけて完了。
保管するときはシューキーパーも忘れずに。
なんと、スニーカーは洗濯機でも洗えます。
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3の工程を「専用のネットに入れて通常通りに洗濯機を回す」に変更するだけ。
百円均一などでスニーカー用の洗濯ネットも売られています。
お手軽に済ませたい場合や汚れがしつこい場合はおすすめです。
④ファーのお手入れ
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秋冬アイテムで人気なのがファーアイテム。
ファーとひとくちに言っても様々な種類が挙げられますが、大きく分けるとリアルファーとフェイクファーがあります。
[リアルファー]
本物のラビットやフォックスの毛を使用したファーです。
様々な種類がありますが、フェイクと比べると手触りが良く、自然な毛流れや風合いが人気ですが、天然物なのでお手入れを怠ると一気にぼろぼろになります。
リアルフォックス毛を使用したクリップタイプのシューズアクセサリー。
リアルファーに関しては、あまり汚れないように気をつけることと、もし汚れてしまったら思い切って専門業者に任せることが重要。
リアルファーは素材も色々であれば加工の仕方も色々。
一概には言えない部分が多いので天然素材を扱っているクリーニング業者に託すのが正解でしょう。
もちろん、毎回クリーニングには出せないので普段から雨の日は履かないなど、汚れないよう工夫することも重要です。
[フェイクファー]
フェイクファーは人工的にファーに似せて作られた合成繊維。
人工物なので天然物ほど神経質に取り扱わなくても大丈夫ですが、それなりのお手入れをしておかないとやはり状態は悪くなっていきます。
リアルファーに引けを取らないボリューミーなフェイクファーをあしらったミュール。
フェイクファーが汚れたら、ぬるま湯で軽く洗って陰干しをします。
合成繊維は熱や洗浄剤に弱い場合もあるので、熱湯・洗剤は避けたほうが◎
ドライヤーも熱風で繊維が変質してしまう可能性があるので、どうしても使用する場合は冷風を優しくあてる程度にしましょう。
また、長期間の保管等によって形が崩れた、癖がついてしまった場合は霧吹きで軽く湿らせて、冷風のドライヤーで風をあてながら形を整えます。
⑤番外編~靴が雨で濡れたら~
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雨で濡れた靴はそのままにしておくと大変なことに。
湿気が溜まってカビ、雑菌が繁殖するだけではなく、シミや匂いの原因にも。
雨で濡れるのは仕方ないことですが、その後のケアをしっかりしておくことで綺麗な状態に保つことができます。
1、水気を抜く
表面の水滴や汚れを拭き取った後は、靴の中に残った湿気を取り除きます。
靴の形を整えながら新聞紙を中に詰め、風通しの良い日陰で十分乾かします。
この時、直射日光やドライヤー等で短時間で乾かしてしまうと、素材によってはアッパーが硬くなってしまい、ひび割れの原因になりますので避けましょう。
2、クリーナーで汚れを取る
靴が乾いたら布にクリーナーをとって浮いてきた汚れを拭き取ります。
スエード等の起毛素材はブラッシングします。
3、必要があれば油分の補給を
天然革や光沢のある素材の場合、必要に応じてクリームで栄養を与えたり、光沢を与えたりします。
4、防水スプレーをかける
最後に防水スプレーをかけて完了。
保管するときはシューキーパーも忘れずに。
まとめ
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様々なお手入れを紹介しましたが、いかがでしたか?
今日からすぐにでも防水スプレーとシューキーパーは手に入れておくのがベストかも。
靴箱も換気して湿気を溜めないようにしましょう。靴箱用の除湿剤をつかうのも◎
大事な靴を長く美しく履くために、毎日コツコツお手入れしましょう。