「セルフ・エスティーム」って聞いたことがありますか?
日本語だと「自尊感情」「自尊心」「自己肯定感」という言葉になります。
ざっくり訳すと自分自身の価値を尊重し、自分自身を大切に思う感情のこと。
セルフ・エスティームを高め、大切にするとは具体的にはどういうことなのか。
事例とともにまとめました。
目次
セルフ・エスティームとは
冒頭でも簡単に説明しましたが、セルフ・エスティームとは「自尊感情」のこと。
近年、この言葉が注目を集めています。
性的マイノリティへの理解が深まりをみせ、女性軽視や人種差別的な言動がバッシングを浴びたりと、世界的にも「自分が自分であることを尊重する」ということの大切さが叫ばれています。
・自分自身を好きだと感じること
・自分を大切に思うこと
・自分がかけがえのない存在だと認識すること
・自分を受け入れること
・自己決定できること
日本語の「自尊心」はあまり良い意味で使われることが少ないですが、
セルフ・エスティームは威張ったり驕ったりではなく、ありのままの自分自身を認め、愛する気持ちのこと。
長所も短所もあるのが人間ですが、それらもすべて受け入ることです。
短所ばかりを気にして小さくなってしまうことのないように、
自信を持って生きていこう。
自分を認めることで他者も思いやり、認められるようになろう。
そんな考え方がセルフ・エスティームです。
自分らしくあるということ
具体的に自己肯定ってどんなことでしょうか。
例えば近年話題に上ることの多いLGBTに代表されるセクシャル・マイノリティです。
最近ではセクシャル・マイノリティへの認識も幅を広げ、LGBTQ+と言ったりもしますよね。
LGBTであることはこれまで理解されることが少なく、セクシャル・マイノリティを苦しめてきました。
自身の恋愛感情を友人・知人だけではなく家族にすら公言できないセクシャル・マイノリティはいまでも多くいます。
ところが近年は「自分らしくあることを大切に」とセルフ・エスティームの精神でセクシャル・マイノリティであることを公言する有名人も多くなりました。
例えば海外では歌手のサム・スミスさん、元競泳選手のイアン・ソープさん、女優のクリステン・スチュワートさん、日本人では経済評論家の勝間和代さん、タレントの最上もがさん、お笑い芸人のカズレーザーさんなどです。
彼らはセクシャル・マイノリティであることを公言することで自身のセクシャリティを認め、尊重するだけでなく、他のセクシャル・マイノリティをたくさん勇気付けたことと思います。
これにより世界規模で「セクシャル・マイノリティを認めよう」という活動が徐々に活発になり、同性婚が認められる地域が増えるなど、より寛容な世の中になりつつあります。
もちろんすべてが認められたわけではなく、今でも苦しんでいる人も多くいるでしょう。
偏見や差別が完全になくなるのも難しいことなのかもしれませんが、今やLGBTへの偏見は古く”ダサい”ものになりつつあるのです。
セクシャル・マイノリティの人々みんながセルフ・エスティームを高め、自分自身を誇りに思い、愛することができる世の中になることを願うばかりです。
様々なセルフ・エスティーム
例としてセクシャル・マイノリティを挙げましたが、世の中にはもっと様々なセルフ・エスティームの事例があります。
①アイコニックな一本眉モデル
モデルとして活動しているソフィア・ハジパンテリさん。
彼女のチャームポイントは何と言っても繋がった一本眉(ユニブロウ)でしょう。
「私は楽しいからメイクするし、自分の好みだからユニブロウにしてる。メイクも好きだしユニブロウも好きだからやっているの」
そう語るソフィアさんも、過去には立派な眉毛がコンプレックスで処理していた時期もありました。
自分自身の立派な眉を誇りに思うようになったのは眉毛を染めたことがきっかけ。
元々ブロンドだった眉を真っ黒に染めてみたところ、兄弟に「とても似合っている!」と絶賛されたソフィアさん。
ありのままの立派な眉を誇りに思う美学に気づいたと言います。
「メイクやヘアカラーや体の変わっている部分が普通じゃないからって批判しても、私は私だし、誰に何を言われようと私はそれを止めるつもりはない」
この決断には悲しいことに批判も多く寄せられました。
しかしそれ以上に、彼女の「ありのままの自分を大切にする」という考え方に多くの人が感銘を受けたのです。
眉毛が繋がっているのは変。
そんなこと、誰が決めたのでしょう?
②毛を剃ることをやめた女性たち
女性の魅力はムダ毛一本ないツルツルスベスベのお肌!
本当にそうですか?
近頃度々ネットニュースでも取り上げられている「毛を剃らない女性たち」をご存知でしょうか?
いつの間にか世界の常識のように定着していた「女性はムダ毛を剃らないと下品」という考えは、今やもう古い考えになりつつあるのです。
#lesprincessesontdespoils pic.twitter.com/oUbe0HLzeB
— adèle 𓆝𓆟𓆜𓆞𓆡 (@adelelabo) 2016年7月11日
Instagramでは女性が剃毛しない自由について活発に言及しあうハッシュタグ「#LesPrincessesOntDesPoils(お嬢様は毛がおあり)」なんてものも。
このハッシュタグでは様々な国の女性たちが脇やスネの毛をあらわにした写真を投稿しています。
はじまりは2016年、16歳の少女が「体毛をそのままにしておくことはアブノーマルなことなんかじゃない」というメッセージを、自らの写真とともにシェアしたこと。
体毛を剃らないことでクラスメイトから笑われ、いじめられた彼女は、体毛に関しては「大きな社会的プレッシャーがある」「女性に負い目を感じさせている原因」とのちに語りました。
そしてこのアクションに賛同する女性が急増!
ハッシュタグ 「#LesPrincessesOntDesPoils(お嬢様は毛がおあり)」は、一時フランスのトレンドワード1位になりました。
本来、人間は頭皮や眉以外にも毛が生えるもの。
なぜなら必要だからです。遺伝子レベルで組み込まれたその情報に逆らってまで、なぜ毛を処理しなければならないのか。
それも、女性だけ。男性はなぜか毛がボーボーでも許されるのに。
そんな考えから有名人でもSNSでムダ毛が生えたままの状態の写真をUPする風潮が強くなりつつあります。
「ノースリーブを着るなら脇毛を剃らなきゃ」
「毛を剃らずにミニスカートなんて履けない」
「顔の産毛を剃らないと美しくない」
そんな考えで自由を侵害されては困ります。
女性だって毛が生える。そのありのままの姿を誇ることこそが一番美しい姿だと思いませんか。
③モデルは痩せていなければならないわけはない
2017年秋、グッチやルイ・ヴィトンなどの有名ブランドが「痩せすぎのモデルを起用しない」という声明を発表しました。
モデルは痩せているもの、痩せている女性の方が美しい、そんな考えの女性も多いことでしょう。
しかし、世界では「痩せすぎは美しくない」という動きのほうがトレンドなのです。
そもそもの始まりは70年代のダイエットブーム。
「痩せていることが美しい」としてメディアはダイエットブームを後押しし、アパレルブランドは痩せている人しか着ることのできないような小さなサイズの洋服ばかりを作るようになっていきました。
すると欧米では若い女性を中心に拒食症の患者が急激に増加。
特にファッションの最先端にいるモデルたちの周りは痩せていることを絶対的に求められる過酷な環境となっていったのです。
当然のようにモデルたちの中には摂食障害で痩せすぎの女性が現れ始め、それが世間に公表されると大きな問題となっていきました。
痩せすぎや摂食障害で命を落とすモデルまでいたのです。
2012年にはブラジル人モデルが21歳という若さで亡くなったのを受け、ヴォーグ誌19カ国の編集長が連盟で「ザ・ヘルス・イニシアティブ」を出しました。
痩せすぎのモデルを採用しないことの決定でした。
さらに16年、フランスではモデルの活動に健康な体重、体格であることを示す医師の診断書の提出が義務付けられ、フランスやスペインを代表する各国のコレクションではBMI18以下のモデルはランウェイを歩くことができなくなりました。
全ては若い女性の摂食障害を減らすため。
日本ではあまり大きなニュースになることが少ない摂食障害ですが、決して他人事ではありません。
むしろ日本人こそまだまだ”痩せている=美しい”という感覚が根強く、自分でも気づかないうちに過酷なダイエットに励み、痩せすぎの身体を手に入れている女性が多いでしょう。
痩せていなければいけませんか?
標準体重の自分は愛せませんか?
著者のBMIは22~23くらいです。フリーサイズの洋服で十分入ります。
それではだめですか?
もちろん世の中にはなかなか太ることができなくて悩んでいる人だっているでしょう。
しかし、今が標準以上でも目指すべきところはそこではありません。
自分の身体を大切にすることだって立派なセルフ・エスティームです。
太っていても、痩せていても、今の自分を大切にする。
過度な”痩せ”の追求は自分を傷つけるだけではなく、家族や周りの人まで悲しませる結果になりかねません。
ありのままの自分の身体を愛してください。
もちろん、貴方のBMIが標準以上でもないのに「太りすぎじゃない?痩せたら?」などど言ってくる男性はグーパンでOK。
人からの評価ではなく、貴方が一番愛せる貴方でいてください。
まとめ
日本は世界と比べても保守的な考えが根強い国です。
「みんながこうするから、こう」となんとなくやっている人も多いですし、TPOを大事にする昔からの風習で新たなことを始めたり声をあげにくい環境でもあります。
もちろん日本の社会全体が人それぞれの個性をもっと大切にしていくように変わっていくことを願いますが、それが難しいからと言って右ならえのままでいる必要もありません。
大事なのはセルフ・エスティーム。
自尊感情の反対の言葉は「劣等感情」や「卑下」です。
太っていてもセクシャリティが他人と違っても見た目が変わっていても「自分なんて…」と自身を過小評価する必要なんてありません。
もちろんそれは過大評価をしなさいという意味でもありません。
ありのままの自分を受け入れ、評価し、大切に思うことで、きっと見える世界も変わり、他人にももっと優しくなれるでしょう。
貴方が自分自身を誇りに思い、愛することができますように。